人手不足を理由にした倒産件数が100件を超えたのは、調査を開始した13年度以降初めて。集計を始めた13年度以降、4年連続で前年度を上回る水準となり、13年度比では2.5倍にまで増えた。5年間で発生した「人手不足倒産」は累計371件となっている。5年間の累計負債額は836億5300万円で、うち建設業の負債総額は277億9600万円に達した。
業種細分類別に5年間の累計件数を見ると、最も人手不足倒産が多かったのは、「道路貨物運送」で26件だった。この春に希望時期に引っ越しできない「引っ越し難民」が社会問題になったり、運搬費の値上げを建材価格に転嫁する動きが出ていたりする点からも、人手不足の深刻さがうかがえる。
これに次いで多かったのが、「木造建築工事」の21件だった。17年度は前年度比250%と急増。施工現場での職人不足による受注減や外注費負担の増加などが、経営を圧迫したとみられている。人手不足倒産の上位10業種では、他にも「建築工事」の15件、「土木工事」の14件、「内装工事」の9件など、建設関連の業種が6業種入っていた。建設業界における人手不足は深刻な状況だ。
17年度の倒産件数は全体で8285件なので、全倒産件数に占める人手不足倒産の割合は1.4%とわずかではある。しかし、その件数、負債総額は増加傾向にある。負債規模も拡大傾向にあるので、軽視はできない。
人手不足倒産のなかには、従業員の定着率向上や新規採用を図るために、やむなく賃上げに踏み切ったものの、生産性を向上できずに倒産に追い込まれたケースが散見されている。帝国データバンクでは、「人件費上昇分を製品やサービス価格へ転嫁しづらい小規模企業を中心に、さらなる人手不足倒産の増加が懸念される」と分析している。