今回の工事では、東急電鉄として初めて川崎市の脱炭素先行地域で「川崎市地域脱炭素移行・再エネ推進補助金」を活用し、太陽光発電パネル、全館空調設備※1などを導入しました。また、建物の構造体を、居住空間に対しリラックス効果や温度調整効果、消臭抗菌効果などの良質な効果をもたらす木造とし、脱炭素やCO2固定化に貢献しました。室内は、見通しが良くコミュニケーションが取りやすい空間を創出するため、柱を一般的な工法よりも少なくすることが可能な木造工法※2の採用や、デニム端材を再利用した左官材で東急軌道工業の作業着である紺色を表現したほか、保線工事で使用する軌道砕石やイヌクギなどの資材をオブジェのように配置することで、東急軌道工業らしい要素をデザインに取り込みました。さらに、新聞紙をリサイクルした断熱材※3や卵の殻を再利用した壁紙の使用など、建築資材の一部にアップサイクル※4材を採用しました。
今後も東急電鉄は、 脱炭素・循環型社会の実現のため、 2022年3月に策定した 「環境ビジョン2030」の実現と2050年のCO2排出量実質ゼロ・再エネ比率100%を目指し、サステナブルな東急電鉄関連施設づくりを進め、東急線沿線にお住まいの方々と共に自然と調和する持続可能なまちづくりを推進していきます。
※1 全館空調設備 ・・・パッシブエアコン(OMソーラー株式会社の商品名)。
屋内全体をゆっくり温度調節する空調システムで、冬は床下から暖房を、夏には天井から冷房することで屋内の温熱環境を一年中快適に維持する。
(出典:OMソーラー株式会社 HP)
※2 木造工法 ・・・テクノストラクチャー工法(パナソニックが独自に開発した耐震工法)。木と鉄を組み合わせた梁と緻密な構造計算で地震や災害に強い構造を実現。
(出典:パナソニック アーキスケルトンデザイン株式会社HP)
※3 断熱材 ・・・デコスファイバー(株式会社デコスの商品名)。断熱材業界において日本で初めて「エコリーフ環境ラベル」宣言を取得した建築用断熱材で、新聞紙を主原料としている。
(出典:株式会社デコス HP)
※4 アップサイクル ・・・本来捨てられる「廃棄物」を素材と捉え、新たな価値を持つ製品として生まれ変わらせる事。
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※東急軌道工業 梶が谷事業所に採用されたデコスファイバーに関する補足説明
【実質排出ゼロ・カーボン断熱材】
この東急軌道工業 梶が谷事業所に新聞紙をリサイクルしたセルロースファイバー断熱材「デコスファイバー」が採用されています。
デコスファイバーは2011年にCFP(カーボンフットプリント)を断熱材業界で日本で初めて取得、製品1袋15kgあたりのイニシャルCO2は「7.1㎏-CO2」で現在も日本最小値となっています。(デコス調べ)
このCFP値と梶が谷事業所で使用のデコスファイバー全量からCO2排出量を計算し、(公社)岐阜県森林公社の間伐促進型プロジェクトによるJ-VERクレジットを購入。
カーボン・オフセットを実施することで、「実質排出ゼロ・カーボン断熱材」として採用されました。
また、デコスファイバーは断熱材業界で日本初のEPD(製品環境宣言)となる「エコリーフ環境ラベル」宣言を取得、製品環境情報を公開しています。
そして、この梶が谷事業所には仮眠室が設けられており、その間仕切り壁にも防音性向上のためデコスファイバーが採用されています。
【デコス採用部位】
・屋根:345mm (一部185mm)
・壁 :105mm (一部100mm)