【夏デコス】だから夏デコス、3つの理由
私たちは、デコスの特長で「調湿性」という言葉をよく使います。
「調湿とは、湿気を吸って、ためて、吐くこと」と簡易的に説明しています。
ここで、湿気とは水蒸気のこと。
水の分子の4/10万分の大きさと言われ、非常に小さく目に見えません。
よく、「呼吸する壁」という言葉も聞きますが、その呼吸とは調湿性を示していることが多いようです。
セルロースファイバー断熱材の原材料約80%が新聞であり、その新聞はもともと木から作られています。
そのため、自然素材の「木」本来の特長である「調湿性」を、デコスは同じく自然素材の特性として持っているのです。
ゆえに、「木の家には木質繊維系セルロースファイバー断熱材」。
それは、「自然の理」にかなったとても相性のよい選択になるのです。
温度湿度非定常同時解析ソフト「WUFI」を開発した、ドイツ・フラウンホーファー建築物理研究所・田中絵梨氏の講演資料にはこうありました。
調湿性とは、「蓄える・排出する」だけではなく、「運ぶ」、さらには「ためない」機能までをいうそうです。
この言葉の定義により、セルロースファイバー断熱材の持つ調湿性がWUFIのシミュレーションにより説明出来るようになります。
前項では「調湿性」での湿気、いわば水の話をしました。
実はもう一つ、今度は熱の話。
夏に強いセルロースファイバー断熱材の特長が「容積比熱」、いわば蓄熱性になります。
今までなんとなくしかわからなかったことが、容積比熱という考え方から今では具体的に説明出来るようになりました。
現在、断熱材は熱伝導率という熱の伝わりやすさを表す数値のみで性能が評価されています。
そもそも、原材料や特長の違うものを1つのものさしだけで評価することは困難です。
しかし、多くが「熱伝導率がいいか、悪いか」「高いか、安いか」だけで判断されているのが現状です。
今までとは違う知識や公的な第三者による実測データ、シミュレーション、ものさし=判断基準を持つことにより、断熱材メーカーとしての情報提供はより進化したものとなりました。
容積比熱の例として、デコスとGW16K、現場発泡ウレタンを比較してみました。
デコスの比熱は実測値、密度は現場での現実的な数値で計算しました。
GW16Kや現場発泡ウレタンは、IBEC公称値やメーカー公表値となります。
デコスは、容積比熱=蓄熱性が高い。
いわば、「熱をためられる量が多い」。
これが数値として具体的にわかりました。
容積比熱がわかると、今度は「熱の伝わるスピード=温度拡散率」が計算出来るようになります。
デコスは、温度拡散率=熱の伝わるスピードが遅い。
比較結果から、いわば「桁違い」。
これが数値としてわかりました。
これまで施工時間が長い、材料が多い、重いなどのネガティブな面が多かったセルロースファイバー断熱材。
実は逆に、この使用量の多さとデコスを活かす設計・施工を行うことで、特に夏の屋根からの心地よい体感というメリットを生み出していたのです。
温度拡散率=スピード比較イメージを図示します。
夏と冬の壁、セルロースファイバーとGW・ウレタンの比較です。
夏、熱は屋外から室内へ入ってきます。
GW・ウレタンは、そのスピードが速く室内に熱が入ります。
それに対して、セルロースファイバーはそのスピードが遅いため、室内に熱がなかなか入りにくくなります。
冬、熱は室内から屋外へ逃げます。
GW・ウレタンは、そのスピードが速く室内の熱が逃げます。
それに対して、セルロースファイバーはそのスピードが遅いため、室内の熱がなかなか逃げにくくなります。
そのスピードを言葉に例えると、GW・ウレタンは、「すーっと」。
セルロースファイバーは、「じわじわ」と言ったイメージです。
この温度拡散率を比較するため、可視化する実験を行いました。
木の箱にそれぞれ断熱材を入れ、裏から電気ストーブで同時に熱を加えます。
そして、表からサーモカメラで画像を撮ったものです。
この実験例では、ウレタン>GW>セルロースファイバーの順で熱が表側へ伝わっていました。
ウレタンの状況から蓄熱して熱が広がっていることがわかります。
どの断熱材も同じように熱が伝わりますが、セルロースファイバー断熱材は蓄熱量が多く、このスピードが遅いため、外気からの熱伝達が緩やかになります。
結露は、温度が低いところに水蒸気が滞留すると発生します。
断熱材の外側は、外気に近い低温になるため、水蒸気の逃げ場が無いと結露が発生しやすくなります。
冬は、室内の水蒸気量が外気より多いので、水蒸気は常に室内から室外へ移動します。
躯体の基本的な考え方は、「室内側:水蒸気を通しにくくする、外気側:水蒸気を通しやすくする」。
そのためには、断熱層の室内側に防湿層を設けて、断熱層に室内の水蒸気が入りにくくします。
また、断熱層の外側は透湿性を高くし、通気層を設けることで外気に水蒸気を通しやすくします。
繊維系断熱材、グラスウール・ロックウール・セルロースファイバーは、透湿抵抗が小さいため、防湿層を断熱層の室内側に設けることが定められています。
その他、プラスチック系断熱材でも、吹付け硬質ウレタンフォームのうち、JIS A 9526のA種3に該当するものも同様に防湿層を断熱層の室内側に設けることが定められています。
これをデコスの場合は、木質繊維系セルロースファイバー断熱材の持つ調湿機能から、国の定めた「防湿層の省略」というルールに従い、物件毎に内部結露計算を行うことで結露判定を行い防湿層の省略を行っています。
「木質繊維系セルロースファイバー断熱材+透湿抵抗の低い耐力面材+通気層」
これが、調湿効果を生み出す壁体構成となり、住まい手の体感が変わるとともに、湿気を排出することで躯体の長寿命化につながります。
夏、太陽は南中高度が高く、屋根からの日射量が増えます。
屋根通気層がキチンと機能していれば、通気層内の空気は上昇気流で棟換気金物から自然排気され、通気層内は乾いた環境になります。
デコスが施工された屋根は、外から熱がじわじわ伝わってきますが、容積比熱が大きいためなかなか小屋裏まで到達しません。
一方、通気層が乾いているため、小屋裏の湿気をデコスが吸湿し通気層へ放湿します。
そうすると、小屋裏の湿度が下がり、いわばエアコンドライ運転のような状況が自然に起こります。
「温度が上がらず、湿度が下がるため、不快指数が低下する」。
これが、「夏に強い断熱材、デコス」のメカニズムです。
セルロースファイバー断熱材の特長である調湿性を活かすためには、「防湿層の省略」が必要です。
ただし、繊維系断熱材や透湿しやすい断熱材は、冬に室内の湿気を壁体内へ入れないため防湿層を貼ることとされています。
デコスでは、「防湿層の省略」の条件として、IBEC((一社)建築環境・省エネルギー機構)の定めた「内部結露計算」により結露判定を行っています。
この記事では、セルロースファイバー断熱材(防湿気密シートなし)とGW+可変透湿シート、さらに通常のGW+防湿気密シートで、非定常計算ソフト「WUFI」によるシミュレーションを行っています。
建築地は、日本一暑くなったことのある埼玉県熊谷市で、屋根断熱240mm。
GWは夏、壁体内防湿層側で夏型結露の危険性が高いことがわかります。
それに対して、セルロースファイバー断熱材のデコスは、その素材が持つ特長から夏型結露の危険性が低いことがわかります。
「透湿性を活かす屋根のつくり方」としては、透湿抵抗の低い面材使用が効果的。
WUFIの例では、MDF野地板でシミュレーションしています。
次に実例として、通気耐力面材「アミパネル」を使った物件での実測結果を紹介します。
この物件の実測結果では、屋根表面と小屋裏表面では41℃もの内外温度差となりました。
デコスはセルロースファイバー断熱材=建材です。
この素材を生かすも殺すも、シェフである工務店の腕次第。
原理原則やルールに則って活かす設計・施工、ノウハウがあれば、心地よさが体感出来る家となります。
それが、住まい手の高い満足度とよい評価につながります。
人は、温度と湿度で快適なゾーンがだいたい決まっています。
それを数値化したものが「不快指数」になります。
例えば夏、温度が28℃で一定。
湿度が、90%・60%・30%の場合で比較します。
90%の場合、蒸し暑くてしょうがない状態です。
それが30%になると、もう暑くない状態になります。
いわば、エアコンドライ運転で除湿したような体感です。
このように温度だけでなく、湿度もコントロールすることが心地よい体感につながります。
デコスを採用された住まい手アンケートでは、空気が「じめじめしていない」「さらさらしている」といった声がよく聞かれます。
これは、不快指数が改善した結果、まさに肌で感じた「体感の違い」を表現しています。
そして、高温多湿な日本の夏、私たちはエアコン(空調機)などを使用して、室内の温湿度を適度に調整し、快適な環境で生活しています。
昨今のコロナ禍で在宅勤務が増えたことにより、自宅でのエアコンの使用時間も長くなりました。
エアコンの除湿には、「弱冷房除湿」と「再熱除湿」があります。
湿度は下げたいけれど温度は下げたくない場合に使う「再熱除湿」は、冷やした空気を温めなおすため電気代が高くなります。
そこで、注目されるのが自然素材で調湿機能を持つ「木」。
木の家や木の内装、木製家具、木質繊維系セルロースファイバー断熱材。
防湿層を省略出来れば、セルロースファイバー断熱材の持つ調湿効果が期待出来ます。
防湿層を省略出来ない場合は、調湿効果は望めないため、空調設備に頼ることになります。
ここで、省エネ性に大きな差が生まれます。
木の持つ調湿機能をうまく活かす木の家づくりであれば、自然に素材が湿度を調整するため、その分省電力で心地よい温湿度環境を得ることが出来るのです。
2016年4月の熊本地震では多くの被害が出ました。
その際、応急木造仮設住宅が地元工務店により190棟563戸建設され、そこにセルロースファイバー断熱材デコスが採用されました。
採用のきっかけは、普段デコスを標準採用されていた工務店、エバーフィールド・久原社長の働きかけによるものでした。
デコスの体感を、住まい手の声を、活かし方を知っている久原社長がいたからこそ、仮設住宅への採用につながりました。
認知度が低かったセルロースファイバー断熱材。
しかし、工務店・大工さん・他の職人さんなど、全国からの施工応援もあり現場で体感した人が激増。
特に熊本の夏は猛烈に暑く、デコス施工後は快適な温熱環境となるため大絶賛。
「早くデコス施工して欲しい」という声に応えるべく、現場はとても忙しく大変でした。
その後、住まい手の声は他のプレハブ仮設住宅と全く異なるとてもよい評価となりました。
そして、復興支援策として「くまもと復興住宅モデル」が熊本空港の横の仮設団地内に建てられ、そこにもデコスが採用されました。
このモデル採用へのきっかけとなったのが、当時住宅局長であった上妻さんの「夏デコス体感」でした。
HEAT20・G2グレードのこのモデルへ、デコスでは説明応援で何度も何度もお手伝いに行きました。
デコスシートが見えている、セルロースファイバー断熱材に触れる小屋裏、屋根ガルバリウムの雨音、飛行機の騒音、調湿性など。
次の住まいを考える多くの人にデコスの特長を体感してもらえる、とても説明しやすくわかりやすいモデルハウスでした。
熊本の皆さんのおかげで、セルロースファイバー断熱材デコスの認知度は爆発的に増えました。
それに比例し、採用物件数も激増。
今では、熊本県庁でデコスは有名になりました。
これも「夏デコス」を活かした大きな成果です。
デコスでは、これまで吸音効果を体感するため「体感ハウス」を山口・関東の両工場に設置。 工場見学時に皆さんにその効果を体感してもらっていました。
今回、「夏に強い断熱材、デコス」を体感していただくために、埼玉県飯能市にある関東工場にHEAT20・G2仕様の「体感ハウス3.0」を新設しました。
連日の夏の猛暑日、朝一番の入室は驚くほどの心地よさを体感出来ます。
ウソか、ホントか。
ぜひ、関東工場見学で体感ください。
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