結露は、
発生部位により表面結露と内部結露、
季節的に冬型結露と夏型結露に区分できます。
【夏デコス】結露対策
安全対策と言えばクルマ。
そこで、クルマの安全対策に学び、結露対策を考えてみます。
クルマの安全対策は2段階、「アクティブセーフティー」と「パッシブセーフティー」。
事前の予防策と事後の被害縮小対策。
結露対策も同じで、事前の「結露させない」対策と事後の「湿気をためない=逃がす」対策の2段階になります。
事前の「結露させない」対策では、使用する建材・断熱工法・設計施工・事前確認・完成確認など。
事後の「湿気をためない=逃がす」対策も実は同じ。ほぼ設計により決まっています。
使用する建材・断熱工法・設計施工・事前確認・完成確認。
ちゃんと出来ていれば防露は可能、結露が起きたとしても排気する仕組みがあれば、被害は最小限となります。
表面結露と比べるとその発見が難しいため、発見した時は、深刻な被害になっている場合があります。
壁体内への水蒸気の侵入を抑えるとともに、壁体内にその水蒸気を滞留させないことが大切です。
内部結露は、断熱性能を低下させるばかりでなく、建物の躯体が腐朽し構造耐力を低減させ、建物の寿命を大きく低下させる原因にもなります。
そのためには、断熱層の室内側に防湿層を設けて、断熱層に室内の水蒸気が入りにくくします。
また、断熱層の外側は透湿性を高くし、通気層を設けることで外気に水蒸気を通しやすくします。
繊維系断熱材、グラスウール・ロックウール・セルロースファイバーは、透湿抵抗が小さいため、防湿層を断熱層の室内側に設けることが定められています。
その他、プラスチック系断熱材でも、吹付け硬質ウレタンフォームのうち、JIS A 9526のA種3に該当するものも同様に防湿層を断熱層の室内側に設けることが定められています。
「木質繊維系セルロースファイバー断熱材+透湿抵抗の低い耐力面材+通気層」
これが、調湿効果を生み出す壁体構成となり、住まい手の体感が変わるとともに、湿気を排出することで躯体の長寿命化につながります。
結露判定が出た場合は、「建材を変える」「防湿層の設置」など、仕様変更を検討します。
なお、この内部結露計算は、建築基準法に定める必須項目ではありません。
そのため、「知らない」「やったことがない」「毎回はやらない」など、設計士によりその対応はバラバラです。
事前の結露対策を考えるのであれば、「全棟事前に内部結露計算すべき」というのが本来あるべき姿と考えます。
エアコンの効いた屋内側の温度で冷やされて防湿層の断熱材側で結露する」。
こうしたメカニズムで生じる夏型結露(逆転結露)は、冷房を使う時間が長い時期に生じやすくなります。
特にコロナ禍、在宅勤務が増え、夏の昼間に自宅で冷房を使う時間も増加。
結露が常態化すると構造躯体の腐食やカビの発生などを招き、木造住宅では早期劣化につながりやすい現象となってしまいます。
従来の“常識”では想定していなかった工事中の雨掛かり=初期結露や、建物完成後の雨水浸入=雨漏りなどに起因するケースが少なくありません。
トラブルの背景でカギとなるのは、もともと冬型結露の防止目的で普及した繊維系断熱材と防湿シートの組合せです。
しかしながら、結露のメカニズム関しては同じです。
そのため、「結露させない」「湿気をためない=逃がす」という2段階の対策方針も同じになります。
夏型結露対策としては、
・室内を冷やしすぎで露点温度にしない
・防湿層に夏の湿気を逃がす透湿可変シートを使う
・調湿性を持つセルロースファイバー断熱材「デコス」を使う
・付加断熱で防湿層を露点温度にしない
などが考えられます。
結露の原理原則から考え、壁構成や建材を見直すことが求められます。
結露させない=露点温度にしない。
湿気をためない=換気。
換気するためには透湿性のある耐力面材や、透湿可変シートなど、湿気を壁体内にためない建材と壁構成が必要。
さらに、セルロースファイバー断熱材の場合、湿気を通しやすい繊維系断熱材だが、調湿性を持つため結露しにくいと言えます。
それは、「住まい方」。
シミュレーションと実際の住まい方は異なります。
そのため、想定外の室温や湿気の発生、換気不足などは、住まい方に起因します。
つくり手と住まい手が、「防露知識とノウハウ」を実践することで、はじめて結露対策が完成すると言っても過言ではありません。